Threat Warning System
脅威警戒装置

F-16に搭載されているALR-69 TWS(Threat Warning System)は機体が感知したレーダー波を解析してその発信源の種類や強さ、方向をパイロットに知らせます。



右側の円形のディスプレイはRWR(Radar Waning Raceiver,レーダー警戒受信装置)ディスプレイです。ここには感知したレーダー波発信源のうち脅威の最も高いもの16個が、その方向と強さを示す位置に、種類に応じたシンボルで表示されます。
発信源の方向はディスプレイの中央を自機の位置とし、上を前方とする360度で表され、さらにレーダー信号が強いものほど中央に近い位置に表示されます(発信源との距離が近いということを示すものではありません)。
表示されるシンボルは発信源の種類を示しています。シンボルとそれが示す発信源の種類は以下の通りです。

2SA-2
3SA-3
4SA-4
5SA-5
6SA-6
8SA-8
15SA-15
A対空砲
Cチャパレル
Hホーク
Pパトリオット
Mアクティブレーダーミサイル
Nナイキ/ハーキュリーズ
S捜索レーダー
U未知のレーダー
航空機
航空機(旧式機)
艦船

表示されるシンボルのうち最も脅威の高いものは菱形(◇)で囲まれて表示されます。また自機に対してミサイルを発射しているものは円(○)で囲まれます。

RWRディスプレイに表示される発信源は必ずしも敵のものとは限らず、味方にレーダーロックされた場合でも敵と同じように表示されます(アビオニクスがイージーの場合は敵のみ表示)。そのため敵味方の識別は発信源の機種から判断するしかありません。SAMの場合は機種に応じたシンボルが表示されますが、航空機や対空砲などはシンボルが1種類なため機種の判定はRWR警戒音のトーンの違いを聞いてパイロットが行わねばなりません。そのためには敵味方の使用機種を知っておきそれらのRWRトーンを聞き分ける必要があります。RWRトーンはFALCON4.0のTactlcal Referenceでも聞くことが出来るのでここで予め聞いておくと良いでしょう。ただしその機種を敵味方両方とも使用している場合は区別のしようがありません。

TWS左側には6つ警戒灯があります。これらはボタンにもなっていて、押すことでTWSの機能を操作することができます。

HANDOFFボタンを押してライトが点灯すると発信源が1つ選択されそれを最も脅威の高いものとし菱形(◇)で囲みます。さらに選択された発信源のトーンを聞くことが出来ます。ボタンを繰り返し押すと次の発信源が選択されます。選択された発信源が既に最も脅威の高いものであればライトは点灯しません。
LAUNCH自機に対してレーダー誘導ミサイルが発射されると赤く“MISSLE LAUNCH”と点灯します。
PRI MODEボタンを押してライトを点灯させると表示されるシンボルを最も脅威の高いもの5つだけにします。[Insert]
NAVALボタンを押して点灯させると艦船の脅威度を高くします。[Shift]+[Page Up]
UNKボタンを押して点灯させると機種不明なレーダー発信源を“U”のシンボルで表示するようにします。点灯させていない場合は不明な発信源が探知されてもRWRディスプレイには表示されず、UNKボタンが点滅してそのことを知らせます。[Shift]+[Home]
TGT SEPボタンを押して点灯させるとシンボル同士が重ならないように表示されます。シンボルが多数重なって表示されている場合に押すと見やすくなりますが方向が不正確になります。[Page Up]

他にもTWSの操作を行うボタンは左コンソールの補助脅威警戒パネルにあります。

注意すべきなのはTWSが発射を探知できるミサイルはレーダー誘導(アクティブ、セミアクティブとも)のものだけで、IR(赤外線)追尾型のミサイル(サイドワインダー、アーチャー、エイペックス、歩兵携行SAMなど)の発射を探知することはできないということです。これらIRミサイルを探知する手段はパイロットの目だけということになります。しかし敵がIRミサイルを発射する兆候として、敵が自機をロックオンすればRWRディスプレイの中央に近い位置にそのシンボルが表示されるので、その方向を警戒するようにすればIRミサイルの発射に対処することができるでしょう。