NaturalPoint
TrackIR2

第2回 『振り向けばミグがいる』

出撃準備

ゲームをする前にいくつかTrackIR2側の準備をしてやります。

まず悩むのは反射ドットをどこに貼るか。自分の額に貼るのは数限られたドットを消耗してしまうし、ゲームプレイ中に突然の来客があった場合、額に輝く銀のシールで客を驚かせてしまうことにもなりかねません。

私はこのようにボールキャップ1つをTrackIR用に供し、鍔の先端に大きい方のドットを付け、オフィシャルグッズの“trackHAT”と同じようにしてみました。これならドット1枚でしばらく使える、首を振ったときのドットの動きが大きくなって良いのではないでしょうか。

TrackIRソフトウェアを立ち上げ“Tracking”を開くと赤外線カメラがドットを捕らえている様子がリアルタイムで映し出されます。ここで自分が画面の中央に顔を向けたときにドットが画像のほぼ中央に来るよう、TrackIRの向きもしくは自分の頭の位置を調整します。さらに首を上下左右に動かしたときにドットが画像の範囲内から外れてしまうようならTrackIRと自分の距離を離してやります。

余談ですがこのカメラ、赤外線であれば何でも反応するので、テレビのリモコンのシグナルなんかも映ったりします。

“Motion”では頭の動きとゲーム中の視線の動きの比率を調整できます。視線の移動速度はゲームによって異なるのでゲーム毎に異なる設定をすることになります。実際にゲームをプレイしてみて視線移動が速すぎると思ったらSpeedを下げてやり、逆に速度が遅くて一番後ろまで視点移動できない場合は上げてやります。

ゲームの対応状況とか

そしてTrackIRを使ってフライトシムをプレイしてみました。

Jane's WW2 Fighters
古いゲームですが、WW2Fは3Dコックピット内でマウスによって視線を自由に動かせることから、普通のディスプレイで見ていてもVR感があり、私が一番最初にVRの可能性を考えさせられたゲームだったりします。
当然MouseEmulationでしかできませんが、ゲーム自体が軽いからなのか今回試したゲームの中では一番MouseEmulationでのプレイがしやすかった印象があります。惜しむらくはWin2K、Cougarという私の現在の環境でプレイできないことです(今検証はWin98とキーボード)。

Strike Fighters: Project 1
TrackIRのサイトではEnhancedモード対応ゲームとなっていますが、OptionのCameraControlには反応してくれません。TrackIRのフォーラムを見るとどうやら対応されるのは次のパッチ(SP2?)からのようです。SP1リリースからそろそろ1年になりますが果たして本当に出るのでしょうか?(^^;
仕方ないのでMouseEmulationでやってみましたが、コックピットの頂上付近を見たときにと視点がぐるっと回転してしまうことがあるのでそこで大きくズレが生じてしまいます。そのせいもあって頻繁にセンタリングを行なうことになってあまり快適とはいえません。SP2早く出して…。

(04/01/15補足)
↑と書いたその日にSP2がリリースされ、ちゃんとEnhancedモード対応になりました。Optionで設定しなくてもTrackIRが起動されていれば使えます。Enhancedモードでプレイした印象ですが、LOMACバージョン1.0のように視線が真上付近まで移動してくれません。また、同じ方向だけ何度も向き続けるとマウスエミュレーションと同じように稼動範囲が寄ってしまうことがあります。範囲のずれはspeedを速めにしておくと起こり難いのですが、真上を向けないのはドッグファイトにはちょっと厳しいです。

Lock On Modern Air Combat
肝心のLOMACはゲームオプションのCockpitで視線移動にマウスを使えるようにすれば、MouseEmulation、Enhancedいずれのモードでも使用できるようになります。
Enhancedモードですが、現バージョンでも対応はしていますがセンタリングしたときに視線が足元を向いてしまうのと、視線が真上付近を向いてくれないという問題があるため使い物になりません。これは次のパッチで修正されるようです。
なので現在はMouseEmulationモードでプレイする方が良いのですが、やはり長時間やっているとこのモード特有のズレの蓄積で視線の可動範囲が右か左、上か下に偏ってしまう状態になり、センタリングしただけでは修正しきれなくなります。このゲームも早いパッチのリリースが待たれます。

(04/01/15補足)
問題点はV1.01パッチで解決されました。EnhancedモードはCOCKPIT MOUSEをオンにしなくても使える(むしろオフする必要がある)ようになりました。視線移動速度は速めなのでセンター付近はかなり低めにした方が良いようです。しかしTIR側でどんなにspeedを下げてもある角度からは急激に速度が上がるのですが、これは確実に最後方まで視線が移動するようゲーム側でプログラムされた動きだと思われます。

Falcon4 BMS
FALCON4.0もBMSパッチ(http://benchmarksims.com/)を当てることでEnhancedモード対応となります。パッチConfigエディタで2D・3Dコックピットに対してTrackIR対応の適用・非適用を設定できます。2Dコックピットは向いてる方向に画面が1つずつ切り換わり続けるといったもので、使い勝手は良くないかも。パッチConfigには視線移動速度の比率設定もあるので、大まかな速度設定はパッチ側で、デッドゾーン等の細かい設定はTrackIR側で調整すると良いと思います。
3Dコックピット視点でドッグファイトをしてみましたが、シザース中のように右後ろから左後ろに咄嗟に視線を変えるような状況が繰り返されても視線はしっかり付いて来ます。長時間やっていてもセンタリングする必要がほとんど無いのでかなり快適、Enhancedモード対応の威力を感じさせてくれます。

頭の中ではVR

TrackIRを実際に使用するまでは“HMDではなく正面に固定されたディスプレイだけで後方確認とかするのは変な感じじゃないのか?”というのが疑問でしが、ゲームに集中しているとディスプレイの枠内だけが自分の世界になるので、現実ではちょっと横を向いただけでも意識的には後ろを振り向いたつもりになってます。その分視線の移動速度が速くなるわけですが、それに対しても意外と早く適応できてしまいます。
本格的なHMD+HTSにはかないませんがこれらがまだ高価な現状では、TrackIR2は入手性、費用対効果の優れたデバイスと言えるのではないでしょうか。

(03/12/31)