Douglas
KA-3B SKYWARRIOR

Hasegawa 1:72
&
A-4C SKYHAWK
Fujimi 1:72


ハイネマンの傑作艦攻を同時製作
前回バルキリーの作成ですっかり疲れ果ててしまったのかまた1ヶ月もの間が開いてしまいました。次はもっと小さくて簡単なものを気楽に作ろうと考え、店に行って新たに購入してきたのがハセガワのKA-3Bスカイウォーリアです。これも決して小さいわけではありませんが組み立てには苦労しないでしょう。
どうせならこのスカイウォーリアと一緒に作ってしまおうとストックの中から取り出したのがフジミのA-4Cスカイホークです。これを一緒に作る理由は同じ"スカイ"シリーズというのもありますが、塗装が同じなので一緒に作業を進め易いという利点もあるからです。

KA-3B SKYWARRIORA-4C SKYHAWK
実機について
名前からも分かるようにメーカーはF4DスカイレイやA-1スカイレイダーと同じダグラスで設計はエド・ハイネマンによるものです。原型機XA3D-1が初飛行したのは1952年10月28日。全長、全幅とも22m以上ある大型攻撃機でこれが空母の上に載っていたというのだからすごいことです。なぜこんな大型機が空母に載っていたのかというともともとは空母から大型核爆弾による核攻撃をするためでした。しかし本来の核攻撃機としての活躍はあまりなく(あったら今ごろどうなってるか分からないわけですが)、その巨体を活かして給油機や偵察機、電子戦機などとして湾岸戦争まで活躍していました。
KA-3Bはそのうちの空中給油専用型で攻撃機型A-3Bから爆撃装置を外し空中給油用装備のみを搭載したものです。
A-4(A4D)もハイネマン設計による艦載攻撃機ですが大きさは全長12m、全幅8mとかなり小型で艦載機ながら翼の折り畳み機構を持ちません。レシプロ攻撃機A-1スカイレイダーに替わる軽攻撃機として開発され原型機XA4D-1が初飛行したのは1954年6月22日。コンパクトな機体ながら8,000ポンドもの兵装が搭載が可能です。また機体が頑丈で戦闘機並みの機動性能を持つため"トップガン"では仮想MiGとしても使われています。アメリカ海軍・海兵隊のほかイスラエルやオーストラリアなどでも使用されシリーズ全体で2,960機もの数が生産されました。
A-4Cは全天候型でレーダー搭載のためB型に比べて機種が延長されています。しかしまだ背部のフェアリングが無かったり空気取り入れ口が胴体と離れていないところなど比較的初期のA-4の姿を保っています。
キットについて
ハセガワの1:72スカイレイダーシリーズは今年発売されたばかりの新キットで現在A-3B、KA-3B、EKA-3Bが発売されています。KA-3Bを選んだ理由はEKA-3Bと異なりまだスカイウォーリア本来の美しい姿を保っていることとA-3Bが尾部に機銃が無い後期型だったこととです(どうせなら前期型が欲しい)。
箱を開けると溜め息が漏れるほどの素晴らしくシャープな凹モールドにエッジもしっかりしたキットが現れました。最近の国産キットとしては当然かもしれませんが改めて国内メーカーの技術の高さに感心してしまいます。これで価格がもう少し安ければ最高なんですけどねぇ...

前回があれなだけに余計に素晴らしく見えるキット。

成形色はいつものグレー。キャノピーとランディングライトが透明パーツとなっています。胴体と尾部が一体になっていることからこの金型では尾部に機銃ターレットのつくA-3A/B初期型や様々な形状のテイルコーンがつく電子戦機型は出ないのではないでしょうか。機体のいたるところにごつごつとフェアリングが取り付けられた姿もスカイウォーリアらしいので是非ともバリエーションを増やして欲しいものです。

フジミのA-4シリーズは発売されてからしばらく経ちますが依然最高のA-4キットで、バリエーションもA-4Cを始めA-4F、複座型のTA-4Fなど様々なものが発売されています。

こちらも素晴らしいA-4のキット。

白とライトグレーの塗装を考慮してか成形色は白でモールドはシャープな凹。キャノピーは開状態用の2ピースのものと閉状態用の一体型の2種類がセットされていてなかなか親切です。

制作 - コックピット
3つの座席を持つ大きなコックピットは全部で12のパーツからなり計器盤はデカール表現。完成後も内部は良く見えるので手を加えればいっそう見栄えが良くなりそうです。

3つのシートを持つコックピット。
左は前席コンソール。
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単座のコックピットはパーツ数6。計器盤にはモールドが施されていますがデカールもセットされているので好きな方法が選べます。
私は前者としました。今回は成形色が白であるためメーターなど非常に細かい部分は罫書き針で上の塗装を剥がせば地の白が現れるため塗装するより楽で奇麗に仕上がります。ただ残念なことに胴体に組み込むとほとんど見えなくなってしまいます。

モールド表現の計器盤。

シートにはベルトもモールドされていますが下のものは消えかかっているのでいっそのことどちらも消してしまって自分でつけた方が良いかもしれません。

(08/19)
胴体・翼など
機首から尾部まで一体となった胴体パーツは左右分割されています。テイルベビーなので機首に重りを組み込む必要があります。重りを入れるスペースは十分にあり、こんなところにもスカイウォーリアらしさが感じられます。また接着前にはアンテナや給油プローブ取り付け用の穴を忘れずに開口しないといけません。
胴体下面はかなりパーツ割りされているので隙間ができ易いです。ただ乗降扉やスキッドなど可動部分の隙間は気にしなくていいのかもしれません。

高翼配置の主翼は上下に分割されていて左右主翼上面は一体となっています。細長いので接着時に翼が反ったりしないように注意する必要があります。翼と胴体の接合部分に若干の隙間が生じます。

エンジンポッドは左右各5つのパーツで構成されています。パイロンと一体のカウルが左右分割されていて中にコンプレッサーファンとジェットノズルを組み込むというものです。


エンジンポッドのパーツ構成。
(08/21)

キャノピーの透明パーツはかなり薄くできているため中を見るとき曲面部分でも歪みが少なく、ランナーから切り離す際もゲートが細くしかも接着面に繋がっているため処理が非常に楽にできます。
窓枠が複雑で曲線が多くテープでのマスキングは難しいためマスキングゾルを用いることにしました。窓枠の凸モールドがしっかりしているのでゾルの表面張力を利用すればきれいにマスキングできそうで、問題は剥がす時にきれいに剥がれてくれれるかどうかです(ちょっと不安だったりする)。


複雑な窓はゾルでマスキング。

エンジンポッドは主翼との接合部分(特に上面)に目立つ隙間ができるため修正が必要です。このようなポッド式のものを作る時にいつも悩むのが接着してから塗装するかそれともそれぞれを塗装してから接着するかで、前者だと入り組んだ部分(特にポッドの胴体側の面)のマスキングや塗装がし難くなり後者だと相当合いが良くない限り隙間ができてしまいます。
今回は主翼下面との合いは良いので先にポッドと主翼下面を塗装してから接着し、主翼上面はポッドとの隙間を修正してから塗装することにしました。

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左右分割の機首パーツをコックピットを挟み込んで接着します。同じように左右分割の胴体パーツをダクトとコンプレッサーファンを挟み込んで接着します。

こちらもコンプレッサーファンが再現。

機首部分には重りを入れる必要があるのですが私は入れるのを忘れて接着してしましました。ただシート後方にもスペースがあるのでここに少し多めに重りをいれることで事無きを得ました。

低翼配置の主翼は上下分割で左右主翼下面は一体となっていて、面白いことにこれはA-3と正反対ということになります。下面パーツと一体になっているスプリットフラップは下げ状態にする場合には予め切り離しておく必要があります。

(08/21)

接着をすると機首・胴体の接合部分にかなり段差が生じてしまいました(以前F型を作ったときの合いは良かったんですが)。前縁スラットを展開する場合に見える主翼前縁部分にも段差が生じます。この2つの場所以外は合いが良いのでそれほどパテのお世話になることはありません。

機首右側に付く給油プローブはキットには短いものと長いものがセットされていています。インストには短い方を使うよう指示があるのですがつけてみると妙に短く感じられるので長い方をつけてみたらしっくりしました。実機の写真と比べても長い方が合っているように感じられたのでこちらを使うようにしました。これらのパーツが付いていたランナーをよく見ると短い方には'B'、長い方には'C'とあるのでやはりC型は長い方で良いのかもしれません。(今書いていて気づいたのですがB型はC型より鼻先が短いのでやはり短いのはB型用です。)

主要パーツの接着が終わればパテ埋め&ヤスリ掛けです。この作業は2機同時にやっても特に効率が良くなるわけでもないのでとにかく地道に2機分の作業を行うだけです。


とりあえずサフ吹き。胴体と主翼の接合部分の処理が甘かったのでまたパテ盛り...
(09/01)
脚部
脚パーツは前脚が2つ、主脚が左右各7つからなっています。パーツのなかには非常に細く折れ易いものがあるのでランナーから切り離す際には注意が必要となります。

細かいパーツは取り扱い注意。

脚扉パーツの内側には見事なモールドが施されています。しかしその影響で表側が波打つように引けているでパテ埋め修正しました。

シンプルな構成の脚パーツは前脚が4つ、主脚が左右各3つから成っています。ゲートが太いのできれいに整形してやります。

左が前脚、右が主脚のパーツ。
塗装
上面がガルグレー、下面がホワイトのお馴染みの塗装です。インストにはホワイトをMr.カラーの69番としていますがA-4と同じく316番で塗りました。69だとガルグレーとのコントラストがきつすぎるような気もします(これも好みの問題でしょう)。

ホワイトを塗り終わったら塗装済みのエンジンポッドを接着します。下面になるべく隙間が出来ないように取り付け上面の隙間はパテで埋めます。やはりポッドの内側は作業しにくいので作業手順はこれでよかったと思います。


ホワイトを塗り終えグレーを塗るところ。
黄色いのはマスキングテープ。

逆に失敗だったのがキャノピー。基本塗装が終わったところでマスキングゾルを剥がそうとしたところ案の定きれいに剥がれず境目が荒れてしまいました。このままでは見栄えが悪いのでキャノピーを外し上部の面積の広い部分を残して全部塗装を落とし筆で塗り直しました。

(09/09)
A-3の塗装を乾かしている間に同じ色をA-4にも塗ります。小さくて入り組んだ部分も無く塗り分けも簡単なのでA-3より作業は楽です。

基本塗装が終了。

今回の塗装期間中雨の日が多かった(それも記録的な)ため湿度が高く、水抜きを介さないうちのエアブラシからはたまに勢い良く水が噴き出したりしてその度作業を中断させられました。それでも仕上がりには影響はありませんでした。

(09/09)
デカール
マーキングは
VAH-4(ZB5/138974/KITTY HAWK)と
VAH-8(NK102/147658/CONSTELLATION)
のものがセットされています。
デカール自体は薄くて凹凸にもよくフィットするのでとても貼り易く、ここにも国産キットの素晴らしさを感じます。

とても質の良いデカール。

塗装が単調で面積も広いことからマーキングは比較的派手なVAH-4を選びました。胴体後部に巻き付く大きなストライプのデカールも問題なく奇麗に貼ることが出来ます。


マーキングは6機と選択の幅が広い。

こちらは5部隊6機ものマーキングがセットされていてその内訳は
VA-76(AG301/149645/INDEPENDENCE)
VA-12(AJ401/149553/SHANGRILA)
VA-144(NK408/149561/CONSTELLATION)
VA-144(NH312/149532/KITTY HAWK)
VA-15(AA412/148459/FORRESTAL)
となっています。
私が選択した149645(VA-76)はベトナム戦争中MiG-17を撃墜した(しかもロケット弾で)ことで有名な機体で、デカールにもちゃんとMiG-17の撃墜マークがあります。

デカールはニスがやや硬いため白浮きしやすく凹凸のある部分に貼るにはマークソフターを使わないとなかなか密着しません。また表面は艶消しなので塗装と艶をそろえるためにグロスクリアーを吹いた方がいいかもしれません。

完成
で、ようやく2機とも完成しました。結局1ヶ月かかりましたが1機あたり2週間と考えればまあまあ早かったといえるでしょうか。
KA-3Bは国産最新キットだけあって再現性、作り易さともに素晴らしく全く苦労無く組みあがるので作っていて非常に気分が良かったです。

完成後思い付いたのですがせっかく給油機と同スケール同世代(しかも同航空団にもできた)の攻撃機を同時に作るのなら両方とも飛行状態にして給油中の状態を再現すればよかったかなと思いました。

そういったわけで完成した2機の写真はこちらです。

アメリカ機の製作が続いたので次はイギリス機を作りたいなぁと思ってます。

(09/19)

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