Douglas
F4D-1 SKYRAY
TAMIYA 1:72
春になり...
暖かくなってやっと窓を開けられるようになりました。冬にプラモデルを作るときは危険防止のため暖房器具を止めなければならないのでいつも寒い中での作業となります。この冬はそれが嫌に感じられるようになって結局1つも作らずに終わりました。
さらに作らなかったと言うより作れなかった理由がもう1つあり、それは次に作りたいと思っていたキットがなかなか入手できなかったことです。
それが今回製作するタミヤの1/72 スカイレイで、このキットは昨年12月に発売されたのですが、私が店に行くタイミングが悪いのかいつ行っても見当たらず、最近なってようやく購入できたものです。
キットは手のかからなさそうなものなのでGW中に一気に作ってしまおうと思っています。
空のエイ
スカイレイの最大の特徴とも言えるのがデルタ無尾翼という形態で、ダグラス社でも戦前から研究はされていたものの、実用化されるに至ったのは戦後ドイツのMe163の開発で知られるアレキサンダー・リピッシュの研究資料を入手したことが大きいようです。
初飛行は1951年1月21日で総生産機数は422機。艦上迎撃機としてアメリカ海軍と海兵隊で60年代中頃まで使用されました。武装は翼内に搭載された20mm機関砲4門と無誘導ロケット弾、その後サイドワインダーが登場するとこれも装備に加わりました。飛行性能も優秀で当時の速度、上昇記録を持っていました。
こんなに安くて本当にいいの!?
タミヤではこの前にも1/48のスカイレイをリリースし驚かされたものです。今回の1/72はそのスケールダウン版と言った感じで、イタレリキット中心のウォーバードコレクションに入れられています。もちろん新金型で、一目見ただけでも技術力の高さを十分感じられるキットです。
しかし一番驚かされるのはこの出来で価格がなんと900円!頭に"1,"を付け忘れているのではないかと疑ってしまいますがもちろんそうではありません。最近のプラモデルは価格が高騰し愛好家だけのものになりつつあるので、こういった子供でも買えそうな良心的な価格設定は非常に喜ばしい限りです。何十年も前の古いキットでもパッケージ替えごとにどんどん値段を釣り上げていく某H社にも見習って欲しいと思います。
見るからに作り易そうな好キット。
成形色はライトグレー。モールドは国産キットでは当然の凹で、パネルや給油口など一部は凸で盛り上がっていて“出るところは出て、引っ込むところは引っ込む”といった感じです(笑)。胴体と主翼が一体になるなどパーツ数が少なくなっていて、塗装も2トーンなので“あ、これなら簡単に作れそう”という印象を受けます。
価格、組み立てと塗装の容易さを考えると、これからプラモデル始めようと言う人にはうってつけのキットと言えるかもしれません。
凹凸でめりはりの利いたモールド。
製作
まずはいつも通りコックピットから。
シートは3分割されています。後部のガイドレールの肉抜き穴をピンバイスで開口して見栄えを良くしました。サイドに押し出しピンの跡があるのでナイフで軽く削って目立たなくしてやります。
フロントパネル、サイドコンソールにはモールドが施されていますが、フロントパネルのみデカールもセットされています。フロントパネルのモールドはいまひとつな感じで、スケールを考えるとデカールの方が見栄えが良さそうなので私はデカールとすることにしました。
シート、スティック、パネル、シュラウドをバスタブ型のフロアパーツにセットしてこの部分は終り。
7パーツで構成されるコックピット。
(05/01)
機首は左右2分割されていて、コックピットと前脚格納室を挟み込みます。5グラムの重りを中に入れるよう指示されていますがあまりスペースはありません。まず釣り用重りを入れ、まだ空いている部分に粘土を詰め込みました。
スカイレイのキャノピーはこの時代の戦闘機としては窓が大きく視界が良さそうです。そのためキットでは完成後も内部が良く見えます。実機のスカイレイのキャノピー内側には補強兼ハンドルの役目をする細い棒が付いているのですがキットでは再現されていません。そこで伸ばしランナーでこれを再現してみました。
伸ばしランナーを接着中。乾いたら余分な部分をカット。
スカイレイは胴体と主翼の境目がはっきりしないという今で言うところのブレンデドウィングボディとなっています。キットでも胴体と主翼が一体となっていて上下2分割されています。胴体内部にはエンジンファンと主脚格納室の内壁のパーツを組み込みます。
胴体に機首、エアインテイク、垂直尾翼を取り付けるとほぼ全体の形が出来上がり、通常ならここでパテ埋め&ヤスリがけという作業が入ります。しかし今回は機首・エアインテイクと胴体の接合部分に若干の段差が生じるものの他には目立った段差や隙間はありません。なのでこの部分だけモールドを消さない程度に軽くペーパー掛けするに止め、あとは一切修正を行いませんでした。そうなるとサフも使用するメリットが少なくかえって繊細なモールドを消してしまうおそれがあるので今回は吹かないこととしました。
よって作業は一気に基本塗装へと移ります。色は上面ガルグレー、下面ホワイトというお馴染みのもの。2色の境界部分は機首にしかないので塗り分けも楽です。基本塗装と機首のレドーム(と平行して組み立てているアクセサリー)だけをエアブラシ、あとは全部筆で塗りました。
脚部は前脚が4つ、主脚が左右各3つのパーツからなります。さらに胴体下面後部にある尻餅防止用の小さい車輪も再現されています。
アクセサリーは燃料タンクx2、ロケットランチャーx2、サイドワインダーx2とNAVPACと呼ばれる航法ポッドです。
NAVPACは説明書通りに白だけで塗るとただの小さな燃料タンクにしか見えなくて面白くありません。NAVPACの前半分は金属ではなく、本物の写真を見ると白でも後半分とトーンが違っていたり、レドームと同じく黒だったりするものがあります。私は分かりやすく黒にしました。
燃料タンクにしか見えないというのは前後に整流カバーがついた状態のロケット弾ポッドにも同じことが言えます。説明書通りに全部緑とせず整流カバーを白とするだけでもずっと武装らしく見えるようになりました(実際にもそういう状態の写真がよく見られる)。
デカールは3部隊のマーキングがセット。
デカールは海軍のVF(AW)-3と海兵隊のVMF(AW)-114,VMF(AW)-115の3つ部隊マーキングから選択できます。私はいかにもこの時代の海軍機らしい派手なマーキングのVF(AW)-3としました。
早くも完成
修正作業が無かったため5日で完成させることが出来ました。集中して作業すれば1日で完成させることも可能でしょう。私も以前は1作品3日ほどで作るのが普通だったりしましたが、細かい部分に気を遣いだすようになってから1ヶ月以上かかるようになってしまいました。そんな中で気楽に組み立てて完成させるというプラモデル本来の楽しさを思い出させてくれる非常に良いキットでした。タミヤからは来月にもF-84Gの1/72版が発売されるとのことなので今から非常に楽しみです。
(05/05)
7個所の兵装ステーションに付くアクセサリーも豊富。
主翼下面中ほどに見えるのは20mm機関砲の砲身、後方には薬莢排出口も見える。
J57エンジンのノズルとその下に見える尻餅防止用の小さな車輪に注目。
機首のクローズアップ。なんとなく顔つきがスカイホークに似ています。
機首や翼端に丸みがあり愛敬のあるデザインのスカイレイですが
このアングルからは戦闘機らしい凄みを感じます。
(05/10)
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