AGM-88 HARM
高速対レーダーミサイル

AGM-88 HARM(Highspeed Anti-Radar Missle)は目標から放射されるレーダー波を感知して、その発信源に向かいレーダーを破壊する兵器です。前任のAGM-45とは異なり、たとえ目標が途中でレーダー放射を止めても放射が行われていた位置に向かって飛翔し、目標が放射を再開したら再補足することも可能です。最大射程は25nmです。
F/A-18Eには3つのHARM発射方法があります。

TOOモード
TOOモードは現在HARMが感知したレーダー放射源の中からパイロットが目標を選択して発射するモードです。


TOOモードのSMSページにはHARMのシーカーが感知したレーダー発信源の位置にその種類を表したシンボルが表示されます。位置は画面中央の+がシーカーの真正面で、画面の上下左右もシーカーからみた上下左右となっています。

感知した目標が複数ある場合、SMSページをTDCにリンクさせた状態で[Back Space]キーを押すと主要目標(HARMがロックし攻撃する目標)を切り換えることが出来ます。

主要目標がHUD越しに見える場合はその位置にLOSボックス(TDダイヤモンドとは別のシンボル)が表示されます。
SMSページには最大15の目標が表示されますが、PB20 LIMITで最も脅威の高いものから5つまでに制限することができます。目標が多く重なり見づらい場合に使用すると有効です。

PB12を押すと表示される脅威をLAND(陸上のみ)、SEA(海上のみ)に制限できます。L/Sの場合は全て表示されます。

PB14 STPを押すと発射するHARMが搭載されている兵装ステーションを選択することが出来ます。

PBモード
PBモードは固定SAMサイトのように既に位置が判明している目標が出撃前に目標リストにプリセットされている場合に使用します。他のモードと異なり目標がレーダー放射を行なっていなくても発射が可能です。

目標がHUD越しに見える場合はその位置にTDダイヤモンドが表示されます。 目標がHARMの射程内にある場合はHUDとSMSページにIN RNGと表示され、この時に武器発射ボタンを押すとミサイルは目標の方向に飛んで行きます。

目標がHARMが発射可能な最小射程に迫っているときはHUD下より最小射程キューが上がってきます。このキューがベロシティーベクターより上に行くとHARMは発射できなくなります。
逆に目標がまだHARMの最大射程外にあり射程距離に迫っている場合はHUD上より最大射程キューが降りてきて、ベロシティーベクターに達するとHARMが発射可能になります。

PBモードではミサイルが着弾するまでに目標がレーダー放射を行なわないとまず命中は望めないので、TALDあるいは自らを囮にするなどして目標のレーダー放射を誘わなければならないでしょう。


SMSページでは目標の選択やミサイルの飛翔時間を知ることが出来ます。

目標の選択はPB1 TGTをオンにしてPB12/13 UN/DWNを押すことで、予め設定されている目標リストの中で切り替わります。現在選択されている目標はプログラム内容表示部分のTGTに目標番号、LABELに目標の名前が表示されます。

ミサイルの飛翔時間は上段が現在発射した場合にミサイルが目標まで到達するまでの飛翔時間、中段は現在飛翔中のミサイルの残り飛翔時間、下段がその差です。飛翔中のミサイルが無い場合には中段の時間は表示されません。

PB 14を押すと発射するミサイルのステーションを変更することができます。

SPモード
SP(自己防衛)モードの使用方法は他の2つのモードとは大きく異なります。予めHARM SMSページでMODEをSPに設定しておけば、その後他の兵器を選択中でもHARMのシーカーは作動し続けます。そしてシーカーが脅威となるレーダー波を感知した場合はその脅威をロックした状態で自動的にHARMが選択兵器に切り替わるので、パイロットは武器発射ボタンを押せば直ちにその脅威に反撃することができます。

このモードを使用中に注意すべきなのはHARMが脅威を感知するといかなる場合でもHARMが選択兵器となるため、たとえミサイルやLGB等を誘導してる途中であっても割り込み的にHARMに切り替わってしまい、その途中の攻撃が失敗してしまうことがあります。これを防ぐには各兵器のSMSページにあるPB16 HRM OVRDをONにすることでHARMへの切り換えを一時的に行なわないようにできます。HRM OVRDをOFFに戻せばまたHARMへの切り換えが行なわれます。

SPモードのSMSページの表示は目標選択が出来ない他はTOOモードのそれと同様です。HUDには中央に“HARM”とのみ表示されます。