F-16 vs MiG-29

このゲームのプレイヤー(もしくは興味のある人)ならF-16とMiG-29どちらが強いのかは気になるところです。

IBSのDeathmatchでは上位のプレイヤーのほとんどはF-16を使用しているようです。MiG-29で戦ってそれらF-16プレイヤーに散々にやられたときなどはやはりF-16の方が強いのかと思ってしまいます。
しかし本当にそうなのでしょうか?

ここではF-16とMiG-29の長所・短所、機動性を比較し、結論までは出しませんがどちらが強いか考えてみたいと思います(もちろんこのゲームの中だけの話です)。

長所・短所
まず各機体の機能上の長所・短所を思い付くだけ挙げてみました。
F-16MiG-29
長所
  • 操縦しやすくミスをしにくい。
  • 銃弾の搭載数が多い。
  • 機銃の射線が上向きなため旋回追尾中の目標に命中させやすい。
  • LANTIRNポッドにより夜間でも目標を視認できる。
  • レーザー誘導爆弾が使用可能。
長所
  • コブラやテイルスライドのような大迎角機動が可能。
  • IRSTを使う事で目標に攻撃の意図を悟られにくい。レーダーOFFで戦闘できるのでSAMにも狙われにくくなる。
  • 銃弾一発当たりの威力が高い。
短所

(無し?)

短所
  • 操縦ミスしやすく失速を起こし易い。
  • 機銃の弾搭載数が少なく弾切れを起こし易い。
  • F-16に比べ計器類が見にくい(特にTWD)。
  • 夜間は目標を視認する事が難しい。

F-16には短所といえるものが思い当たりません。唯一考えられそうなIRSTが無いことも特に短所とは感じられません。
MiG-29の短所は長所の裏返しという感じがします。F-16ではリミッターがかかっていて(あるいはかかっていなくても)出来ないような機動をMiG-29では容易に出来るようになっています。しかし機体に無理をさせ易い事が失速やスピンに入り易くもさせています。アナログ計器中心のコックピットは一見短所のようにも思えますがMFDのように故障する事が無く、見慣れれば数値を読まなくても針の角度だけで速度や高度を知ることが出来るので決して短所ではないと思います。ただTWディスプレイが見にくい位置にあるのは非常に不便に感じられます。

機動性
空戦で重要となる機動性は旋回率、旋回半径、加速性です。これらの性能データは公表されていないので実際に自分でゲーム中に計測するしかありません。このうち旋回半径は計測が難しいので他の2つについて計測してみました。時間の計測はストップウォッチでの手動計測なため精度は良くありません。計測時は共に機外搭載物の無いクリーンな状態で飛行高度もほぼ同じになるようにしています。

加速性
AUTO LEVELで機を水平に保った状態でスロットルを最大にて加速し、200ntから各速度に達するまでに要した時間を測定。MiGの速度は1nt=1.852kphで換算。下の結果は3回計測した平均。
速度500nt600nt800nt
F-1611秒22秒*
MiG-299秒14秒26秒
*F-16では800ntに達しなかった

旋回率
直進しながら加速し、500nt(720kph)に達したら横転しスティックを最大に引き360度旋回に要する時間を測定する。ただしMiG-29は後述する理由によりスティックの引き具合を加減した。
試行1回目2回目3回目
F-169秒9秒9秒
MiG-2911秒10秒9秒
MiG-29はスティックを最大に引き続けると360度旋回するまえに失速してしまうため適度に加減した。そのためその時の加減具合で結果にばらつきが出た。それに対しF-16は常に同じ結果が出た。

この2つの結果にはこの2機種の特徴が良く現れていると思います。
加速性能はMiG-29が圧倒的に上回っている事がわかります。またF-16が800ntに達しないことから最高速度もMiG-29が優れている事がわかります。
旋回性能は計測法方が良くないので上の結果からははっきりとした事はいえません。F-16の方が旋回性能が優れているように見えますがMiG-29はスティックの引き加減で旋回具合が変わるため人によっては全然違った結果が出ることも考えられます。この計測ではスティックを最大まで引かない状態で一定にしたり、最大に引いても失速する前には緩めるなどなるべく早く360度旋回できるように測定ごとに異なる加減をしたためばらつきが出てしまいました。
しかし注目すべきはMiG-29の3回目の計測結果がF-16と同じ9秒だったことです。手動計測なので誤差も考えられますがこの後も計測を繰り返してみたところ上手く操縦すれば9秒という結果が出ることが分かりました。少なくともMiG-29の旋回性能はF-16から大きく劣るという事は無いようで、操縦の仕方によってはF-16と同じ旋回率が出せるようです。

見解
F-16には欠点らしい欠点が無く安定した強さがあります。また弾丸数に余裕があるため照準が多少合っていなくてもガンガン射撃する事ができ、弾を目標に向かって撒き散らすことで少しずつではあるものの確実にダメージを与えていく事が出来ます。また射線が上を向いている分MiG-29よりアドバンテージがあるといえるでしょう。なお機銃の発射速度(連射能力)はこのゲームでは両機種ともあまり変わりが無いようです。

MiG-29は不用意にスティックを最大まで引くとあっという間に速度を失い最悪だとスピンを起こしてしまいます。ただし操作次第ではF-16と同等の旋回は可能で、ここぞというときにスティックを最大に引く事でF-16を打ち負かす事は十分可能だと思います。そしてF-16より明らかに優れている加速性を活かせばF-16を圧倒する事もできるはずです。銃弾は威力が高いため命中させればF-16より早く敵を撃ち落とす事が出来ますが、搭載数が少なく無駄弾が使えないためしっかり狙いを定めてから撃たなければなりません(もちろんF-16でも正確な照準は必要ですが)。そしてIRSTを使い敵相手に気づかれずに武器の射程内まで忍び寄り不意打ちを食らわすことができることもMiG-29の魅力といえます。

つまりF-16はある程度訓練すれば誰でもその最大性能を発揮できるいわば“オートマチック”戦闘機と言えます。それに対しMiG-29は操縦が難しく銃撃にもより正確さが要求されるなど乗りこなすにはかなりの訓練が必要となる“マニュアル”戦闘機ではあるものの、その性能を最大限まで引き出す事が出来ればF-16を上回る可能性を秘めているのではないかと思われます。

以上はあくまで私の見解なので人によっては異論もあることでしょう。現在のところIBSではMiGプレイヤーは少数派で目立った活躍も少ないので少し持ち上げ気味かもしれません。私も最初はF-16を主に使っていましたが最近では努めてMiG-29を使い続けるようしていて「ひょっとしてMiG-29の方が強いのでは」と感じ始めたところです。
性能の善し悪しに関係なく「F-16の方がカッコイイ」とか「ロシア機が好き」など自分の思い入れのある機体を乗りこなしてライバル機種を圧倒し、愛機の強さをアピールすることもまたこのゲームの楽しみだと思います。